無限に広がる採寸の可能性
前回、採寸の最初のステップとして、お客様のヒアリングをしつつ
細かなサイズを測る手法を紹介いたしました。
ピッタリサイズを測るだけなら、極論すれば採寸は誰にでもできるもの。
私たちは採寸の作業中にも、お客様がどのようなシーンでシャツを着用され、
シャツのどの部分にこだわりをもっているかを見出すのに重きを置いています。
ただ、ストレートに好みやご意見の出る方もおりますが、どこをどうしたいですか?
と聞かれても、なかなか明確に答えられる方は多くありません。
そこで、採寸中のさりげない会話の中で出てきたヒントをどう生かすかも、
お客様の求めるシャツに近づけるための技術の一つとなります。
個人の好みが表れるのは、襟の形やカフスの形、胸ポケットの形など様々です。
例えば襟の形はスタンダードレギュラーなもののほかに、
主にホリゾンタルカラーやワイドボタンダウンカラーなどがあります。
ホリゾンタルカラーは太いネクタイなどによく似合い、ワイドボタンダウンカラーは
ネクタイをしない場合の多い方に、ネクタイがなくてもだらしなく見えません。
カフスもラウンドや大丸など様々ですが、パソコンを多く使う職場の方などは
カットオフなどもおススメ。
そのほか襟やカフスに合わせたボタンの形や素材、さらにシャツの生地ともなれば
その種類、組み合わせは無数に広がってきますね。
そこで前回からYさんの採寸を例に挙げていますが、ようやくシャツが完成しました。
無数の選択肢のなか、どのように「Yさんのための1枚」を作り上げたのか…
次回からご紹介させていただきます。