シャツの変遷(80年代)
ロンドンのジャーメイン通り(有名なシャツブランドが建ち並ぶシャツの聖地)のシャツブランドは、1980年代、それらのオーナーとなったデパート(ハロッズなど)によって新しい時代へと突入します。デパートはシャツブランドを買収したことで、英国の小売の歴史に布石を投じ、小売の歴史を大きく変え、未来を築き上げました。シャツの聖地、ジャーメイン通りが目に見えて変わったわけではありません。
1990年代後半にコンピュータ化されたレジが導入されたほかは、苦心して以前の装飾されたスタイルに復元されたくらいです。新しいオーナーたちは、伝統的な品質と美徳に挑戦しました。
つまり店自体は見たところ大きな変わりはなく、背景にある物事は変わっていく。新しいオーナーはビジネスでそうした新しい投資については惜しまず、ジャーメイン通りのシャツメーカーとしてその評判が続くように請け負ってきました。こうしたことで、世界のシャツブランドはクライアントから選ばれてきたのです。その顧客は英国および諸外国の貴族社会からハリウッドのスターにまで及んでいます。
1980年、世界のシャツブランドは日本にも進出し何カ所も店舗を保有しました。
この時代、世界の高級シャツの生産量は向上し、70年代初めから比べて25年後、5倍近い枚数を生産するようになっていました。
その半面、細かいところにもこだわりを持つ職人が正確な計測をディレクションし、匠のシャツ作りをする時代に入りました。どの製造プロセスも専門家によって成し遂げられる分業制をとるようになりました。