vol.11 | 麻生地(主にリネン)について

今回は、夏用の生地、麻(リネン、ラミー、ヘンプ)について書いてみたいと思います。
通気性が良く、肌に触れると冷感のある麻生地は、現在では「夏用の生地」の代表として親しまれてきました。

ただ、人類にとって、夏用の生地という地位を確立したのは産業革命以降で、最古の衣類もこの麻が使われている所から、中世以前は、季節関係なく着用されてきた、もしくは他に布地が無かったようです。

麻は、肌触りが良く保温性も高い綿が出現してから、気温の高い地域、または季節での生地として、その活躍の場を移した感があります。

麻は肌触りが少し冷たく、ややチクチク感があるので、苦手にされている方も多いと思いますが、反対にその涼しげな姿に憧れを抱く方も多いと思います。

そんな麻ですが、実は衣類として使われる麻には3種類あります。
リネン、ラミー、ヘンプの三種類ですが、衣類として価値のあるのは、何と言ってもリネンと言われています。
ラミーはリネンに比べて硬く、ヘンプはリネンに近しいですが、品質的にはリネンに及ばない感があります。
また、ヘンプは栽培することに規制が入りますので、現状扱いが難しい一面もあります。
麻は、そのままではフォーマルとして着られることは少なく、カジュアル的に着られる事が多い生地です。リネン100%の生地などは、カジュアルに着ると思って頂いてほぼ間違いが無いと思います。
生地の作り手も、そういう用途を想定して作っていると思います。

また、綿に比べて色使いが派手でも難なく着れてしまう雰囲気があって、綿に比べると何倍も色柄が派手な傾向があります。
以前はチクチクした感じがありましたが、今は品質の良い麻は、チクチク感が全くと言って良いほど無いと思います。
日本では、クールビズと相まって、夏場には欠かせない素材になりました。
次回は、混紡の綿麻(コットンリネン)について書いてみたいと思います。