vol.1 | シャツの入手方法

シャツが必要で、購入を検討されている方に、またはシャツが好きでたまらない、そんな方に、

何をどうやったらよいか?という疑問に、くどいほどお答えしたいと思います。
これを読めば、シャツ通として、シャツに関しては相当に詳しくなれます。

ということで、まずはシャツ云々よりも、お客様にとって、まず最初のシャツの入手手段からお話しします。
どうやったら満足のいくシャツを、できるだけ経済的に、時間的に費用をかけず、入手することが出来るのか?

とりあえず、シャツの入手方法には大きく分けて、下記の方法があります。

  • 自作(またはリフォーム)
  • 既製品の購入
  • 各種オーダー
1.自作またはリフォーム

「えっ、自作?できるの?」と思われた方も多いと思います。
実は、100年前、ヨーロッパでは、シャツは、家庭で自作することが通常でした。
母親が、自分の息子のために作ったり、近所の仕立て名人の主婦に作ってもらったりということが主流で、既製のシャツというは実は存在しなかったのです。
「生地として、購入し、それを仕立てる」、それが普通で、既製品の登場は、ここ80年くらいのお話です。
その名残もあってか、イタリアのシャツなどは、非常に裄丈(袖丈)が長い傾向にあります。
サイズ表記を見ても、襟の寸法は記載があっても、袖の記載はありません。
袖の長さは、自分達で直せるでしょ?という慣習的な意味合いが今も強いのだと思います。

ただ、今の時代に自作を求めるのは時代錯誤です。シャツも高度になり、専用の機械も必要になり、簡単なカジュアルシャツなら別として、ドレスシャツを一からすべて自作することは、ご家庭ではミシンがあったとしても、ほぼ不可能に近くなってます。
自作は、専門職以外ほぼ不可能、仮に出来ても労力と対価が釣り合いません。

そこで、今の時代、家庭での全てを自作することに変わる手段として、既製品などを購入して、自分で直したり、お直し店(リフォーム店)で、サイズなどをお直ししてもらうという方法があります。
自作、リフォームのメリットは、何と言っても「本人が納得いく、または納得しやすいということ」、デメリットとしては、手間と費用と時間が、ケースによって掛かること、人によってはかなり難しいことでしょうか?

2.既製品の購入

もっとも一般的で、現代において、ほぼすべての方が既製品の購入という入手の方法を選んでいます。
この既製品の購入という手段ですが、実は衣類にとっては非常に画期的で、シャツについては、登場は実は80年前と非常に歴史が浅いのです。

「顧客の好みの製品をあらかじめ作り置きしておく」

これが既製品です。量作れるので、コストも少なくて済み、比較的安価で、入手からシャツに袖を通すまで時間を要しません。
ただ、既製品は宿命的に、「大方のサイズしかない」、「不利益な在庫も持たなければならない」という弱点を抱えています。
この在庫というものが、衣料品の業種では、致命的な弱点となっています。
その弱点を補うために、在庫の処分にセールをしたり、在庫の分をあらかじめ服の上代に上乗せしなければならず、結果価格の上昇につながっています。
ただ、その在庫分のコストを上乗せしても、オーダーや、リフォームに比べれば、安く入手することが出来、品質も一般的なレベルを期待できるわけです。
サイズ的に、それほど問題が無い方、そこまでこだわる必要の無い方には、既製品がベストの選択と思います。

3.各種オーダー

自作やリフォームは駄目、既製品も駄目となると、最後の手段として、「オーダーする」という選択肢があります。
今の時代には、オーダーというのは最後の手段です。
コストも掛かり、時間も掛かる、仮に良い品質で仕上がるとしても、代償は大きいというのが、オーダーの宿命です。
既製品よりもコストが掛かりますが、在庫分がありませんので、その分だけはコスト的に優れていると言えるでしょう。
また、オーダーにも種類があります。
その方の体に合わせて、設計から始めるフルオーダーもあれば、あらかじめある程度用意された中から選ぶ、イージーオーダーなどもあります。
選択次第では、思っている以上に、デメリットは少ないかもしれません。
でも各種オーダーにはそれぞれメリットと、デメリットがありますので、ご説明します。

  1. フルオーダーまたはビスポーク
    その方の体を採寸し、全ての寸法を設計する自由度が最も高い方法。フルオーダーとビスポーク(be spoke :話してから作る)は同義語。
    メリット  完成度が非常に高い。
    デメリット 通常、最もコストが掛かり、時間も掛かる。完成形が見えにくく、顧客の期待も不安も大きい。
  2. パターンオーダーまたはカスタムオーダー
    あらかじめ決められた枠の中で、優先度の高い箇所を選択する事が出来る方法。パターンオーダーとカスタムオーダーは同義語。
    メリット  コストと時間が低く抑えられる。それなりの満足度が得られる。
    デメリット 選択肢が限られるので、高い要求には応えられない。
  3. アジャストオーダー
    あらかじめ出来上がっている半既製品を、主要な襟寸法(首回り)と裄寸法(肩から袖)だけ、または裄寸法(肩から袖)だけ調整する方法。一種のリフォーム。
    メリット  コストと時間が非常に低く抑えられる。それなりの満足度が得られる。実用的である。
    デメリット 既製品の延長で、オーダーとは言えないが、特にデメリットもなし。

以上、まずはシャツの入手の方法からご説明させて頂きました。次は、シャツの主材料である、生地について書いてみたいと思います。