シャツのおはなし vol.2 | シャツ生地素材の選択方法

シャツ屋をやっていて、皆様から、一番多く頂く問い合わせの中に、

「シャツがほしいのだけど、生地、どれを選んで良いのかわからない」

というのがあります。シャツの価値は、50%は主材料である生地で決まります。
一番難しいのが生地の選択かもしれません。

シャツにとって、生地は、かけがえのない相棒です。
今回は、色や柄は飛ばして、生地の素材感の視点に絞って、お話ししたいと思います。

シャツ生地の素材代表6つ
  1. 綿
  2. ポリエステル(ポリエステル混)
  3. シルク
  4. ウール(ウール混)
  5. その他化学繊維

シャツの素材の代表を挙げてみました。
この6つがほぼ全てになります。
このうち、最も代表的な綿が大多数を占めます。
麻は夏素材、ウールは冬素材として、季節的にありますが、通年の大部分を占めるのは、何と言っても綿になります。
綿こそが、やはり「キングオブシャツ生地」なのでしょう。
着心地の良さ、利便性、耐久性や、汎用性など、どれを取っても一番と言えるのが綿です。
その昔、ヨーロッパの列強が、航海に飛び出した最大級の理由の一つが綿でした。疫病がはびこった時代に、洗濯ができる綿素材は、非常に貴重な存在だったのです。

さて、市場には、ポリエステルの生地や、ポリエステルが混じった生地が、既製品を中心に多数出ています。
ポリエステルは、水を通さず、形が崩れにくいので、ケアの側面からは非常に便利な繊維です。
アイロンがけも、温度さえ間違わなければ、かなりカンタンです。
また、天然素材よりも安く作れますので、コスト的にも低く抑えることが可能です。
そう考えると、お仕事着としては、最も便利かもしれません。
ただし、見た目が人工的で、高級感はありません。また、水分を吸いませんので、着心地が決して良くはありません。そこがデメリットかもしません。

シルクは、ごく一部のドレスシャツに用いられますが、高級品過ぎて、さらには扱いが難しすぎて、お奨めは出来ません。
ただ、シルクというのは、ドレスシャツ(装飾品としてのシャツ)にとって理想の生地で、非常に意味があります。
実用性は乏しいですが、綿にしろ、ポリエステルにしろ、このシルクにいかに近づけることが出来るかに、その価値が掛かっているからです。
その昔、ヨーロッパ諸国は、非常に高価な中国のシルクに強い憧れを抱きました。シルクに綿を近づけることは、当時、ある意味、錬金術にも等しかったのです。
シャツ生地の価値として、

「シルクというのが最上であり、綿はシルクにより近い綿ほど価値がある」

これがキーフレーズになります。

次回は、さらに詳しく、素材のお話をしたいと思います。

※その他の化学繊維はストレッチ素材などでポリウレタンなどが極一部使われることがあります。