神風 ― インターネットの普及と、雑誌で見つけた一行

1999年、遊びのつもりで買った1台のパソコンと、雑誌で見かけた一行の記事。それが、会社の運命を変えました。

そんな状態の当店にも、時代の神風が吹くことになります。インターネットの到来です。

1999年。ちょうど家庭にパソコンが本格的に普及し始めた頃でした。周囲から「メールが」「プロバイダが」と聞き慣れない言葉が聞こえてくるようになり、私も興味を持って安いパソコンを1台購入しました。理由は、ほとんど遊びです。

その安いパソコンが会社の運命を大きく変えることになるとは、そのときは思ってもみませんでした。

雑誌で見つけた、運命の一行

購入して1ヶ月も経たないある日、パソコン入門のような雑誌をちらりと読んでいて、運命を変える一文に出会います。

「Wordで、ホームページを作ろう!」

マイクロソフトのWordというソフトに、実はホームページを作る機能がついているのをご存じでしょうか。私はこの雑誌で運良くそれを知り、さほど難しい作業ではないことも分かりました。

そこで、ごく簡単なテキストだけのホームページを、サーバーにアップロードしてみたのです。すると、曲がりなりにも公開でき、誰も見ていないとはいえ、情報を発信することができました。

これは感動でした。何の意味も持たないページで、誰も見てはいない。それでも、曲がりなりにも世界中に発信できたことに、大きな可能性を見いだせたのです。

これなら会社を復興させることができるかもしれない。直感で、そう確信したのです。

「犬の服は作れますか?」

さっそく、BtoB(企業向け)のページを作ってみました。

結果的に、このサイトから仕事が生まれることはありませんでした。それでも、レスポンスは多少あったのです。シャツの工場だと謳っているにもかかわらず、「犬の服を作ってくれませんか?」「ボウリングのユニフォームを作れませんか?」といった問い合わせが届きました。

このとき私は、会社の復興にはインターネットしかないと確信します。

インターネットが、当店に足りない営業力と販売力を補い、広告塔になってくれる。陸の孤島だったこの会社を、インターネットで日本中に宣伝することができる。そう気づき、本格的にネットへ乗り出すことを決意しました。

なぜ、オーダーシャツだったのか

やるからには下請けではなく、自分たちのオリジナルで行こうと考えました。

数ある選択肢の中でオーダーシャツを選んだ理由は、いくつかあります。シャツを作る最低限の機械があったこと。生地の残りがあったこと。在庫を抱えなくて済むこと。そして——需要というものを考えなくていいことです。オーダーなら、需要はお客様が教えてくださるからです。

オーダーシャツという業態は、市場調査ができない、販路がない、経済的な体力がないという当店の弱点を、そのまま補ってくれるものでした。


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あなたのための一枚を、市川アトリエで。

創業60年、職人が一枚ずつ仕立てるフルオーダーシャツ。

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